「旅のお坊様に斎を差し上げに参りました」と、甕(かめ)を捧げます。


「近くにお住まいなのですか」
「一族だけの小さな村です」
「兄弟子は見落としたんだな。すごいごちそうだ。山桃よりずっといい」
八戒がはしゃぎます。甕の中には精進料理のごちそうが詰まっています。

悟空が山桃の実をいくつか抱えて筋斗雲で戻って来ます。妖怪は遠くから見る方が本体を見抜きやすく、娘が白骨の妖怪であることがすぐ分かりましたから、筋斗雲から飛び降りざま、悟空は如意金箍棒で娘を一撃に叩き潰しました。

「何をするんだ、兄弟子」
八戒がわめきます。
「よく見ろ、妖怪だ」悟空は平然と言いましたが、地面には無残に叩き殺された娘の死骸があるだけです。
しまった、解死の術だ、と悟空は思いました。身代わりの術の一種で、用意した死体と入れ替わり、本体は逃げているのです。

これでは誰が見ても、悟空が村娘を叩き殺したように見えます。
「甕を見てみろ。どこがごちそうだ」
八戒が甕の中をのぞくと、さっきまでのごちそうはなく、おびただしい毒虫がうごめいています。
「人殺しをごまかすために兄弟子の術で食べ物を虫に変えたんだろ。化けザルめ」
八戒は完全に悟空を疑っています。

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